不動産コンサル 代表ブログ
10 01
2025
リレーション、ソリューション
「リレーションとソリューション」
──これは、以前ある金融機関の担当者から聞いた印象的な言葉です。
金融機関では、融資の相談をきっかけに、
保険や投資信託などさまざまな商品を紹介されることがあります。
その担当者は非常に優秀な方でしたが、あるとき率直にこう言われました。
「私たちは“つなぐ”ことはできますが、
それが本当にお客様のためになるかどうかは、ご自身で判断してください」と。
この言葉には、金融サービスにおける“リレーション(紹介)”と“ソリューション(解決)”の違いが凝縮されています。
紹介すること自体は悪いことではありませんが、それが本当に相手の課題解決につながっているかは別問題です。
実際、私のところにもこうした“リレーション”の結果、迷われている方が相談に来られます。
ある方は、相続税対策の相談を税理士に持ちかけた際、
「この土地は資産価値が高いから、組み替えをして別の不動産を購入したほうがよい」
と提案を受けたそうです。
ところが、当のご本人は「利回り」や「立地評価」など,
専門的な話が理解できず、判断に困り、私のもとへ相談に来られました。
現地を拝見すると、その土地は非常に優れた立地条件を備えており、
むしろ売却せずに自ら活用するほうが資産価値を高められる物件でした。
仮に売却して組み替えを行えば、多額の譲渡所得税が発生し、資産が大幅に減ることになります。
最終的に、その土地は建築活用によって継続保有し、安定的な資産運用を目指すことになりました。
このケースからもわかるように、
紹介による提案(リレーション)は、必ずしも最適解(ソリューション)とは限りません。
紹介した側にとっては「つないだ」という成果が残り、
紹介料が発生するかもしれませんが、最終的な判断と責任は受け手に委ねられます。
近年、金融や不動産の世界では、こうした「リレーションビジネス」が広がっています。
しかし、それが本当に顧客の利益に資するものであるかどうか、疑問に感じる場面も少なくありません。
AIが進化し、膨大な情報をもとに“最適化された”提案を出せる時代になったとしても、
そこには数字で測れない「想い」や「背景」があります。
資産に対する感情や家族の意向など、人間的な要素を抜きにしては、真のソリューションは生まれません。
大切なのは、“誰に紹介されたか”ではなく、自分が“誰と考えるか”。
そして、あなた自身の目的や価値観に寄り添い、
数字だけでなく「思い」を汲み取ってくれる専門家と出会うことが、
最良の資産活用への第一歩だと思います。
賃料の上昇格差
2025.08.20
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